石灰化上皮腫
石灰化上皮腫(英:calcified epithelioma)は、皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性の皮下腫瘍の一つです。なぜ発生するのかはっきりとした原因は分かっていませんが、毛母細胞を起源とする腫瘍であることがわかっており、毛母腫(pilomatorixoma)という別名があります。
比較的若い人、特に小児の顔(まぶた)、腕、頸などに発生することが多いようです。
触診上は皮膚の直下に石の様に硬いしこりを触れることが多く、ほとんどの場合無症状です。時に痒みや圧痛を感じることもあります。皮膚の色は正常か、または腫瘍の上の皮膚が薄い場合は下の腫瘍が透けて見えて黄白色や青黒い色に見えることもあります。触ると表面は凸凹していますが、境界は明瞭で可動性は良好です。一般的に悪性腫瘍は硬く、表面が凸凹していることが多く、また表面から触って腫瘍を動かそうとしても可動性が悪いことが多いのに対してこの腫瘍は皮膚の下で移動するという違いがあるため、鑑別のポイントになります。ただ大きなものや、可動性が悪いもの、皮膚表面が破裂してしまったものなどでは、時として悪性腫瘍と見分けがつかないこともあります。
石灰化上皮腫の成長はゆっくりですが、自然に治ってしまうことはほとんどありません。また内服薬や外用薬、レーザーなどで腫瘍をなくすこともできません。また、細菌感染を起こせば赤くはれ上がります。また先に述べたように悪性腫瘍との鑑別が必要な場合もありますので、原則的には外科的に手術をすることが望ましいと考えられます。そして手術で摘出した組織を顕微鏡で見る検査(病理学的検査)することによって確定診断をします。
摘出術は、年齢と腫瘍の大きさにもよりますが、小学校高学年以上であれば殆どの場合局所麻酔で日帰り手術が可能です。年少児の場合や大きなものの場合には全身麻酔が必要な場合もあるので、詳細に関しては専門医に診察をしてもらうことが重要です。部位によっては傷痕が問題となることもあるので、その場合には形成外科的な手技を用いることでかなり目立たない傷痕にすることができることがあるのでご相談ください。